***31.aug.2006
えも言われぬ焦燥感は音楽の記憶とともに記憶の場所にある。
悲しくはない予感。予感という不安。居心地のよい不安。
そういう気持ちを思い出す。ふいに蘇る音楽の断片的な気配とともに。
いつもいつも、あるいは、以前がいつだったか数えても思い出せないほど、ふいに。
sweetest girlは、いつまでも空虚で愛らしく、きっとそんな気持ちで空気にふれていた日々と空をおもいだす鍵。
ここしばらくはまっているファミリー向けの安い回転寿司レストランでてきと〜なBGMがかかっている。だいたいが誰もが聞いたことのある洋楽ポップスのシンセ・アレンジみたいなもの、のなかで、なぜか、なぜだか、qupid&psycheがかかるのだ。『qupid&psyche』と『ラジオスターの悲劇』が繰り返されている。『ラジオスターの悲劇』は確かに流行ったポピュラー・ミュージックだとわかるけれど、Q&Pが回転寿司のBGMになるほど一般的だったとは知らなんだ。
スクリッティのホワイトアルバムはまだ若い耳に新鮮だった。そしてレコードを裏返した最後のsweetest girlは尾をひく、ずっと尾をひきながら夜明けの白む空に消えて行った。みたいな。意味もなく夜を明かした日々はひとときもやむことなく音楽をかけ続けるのだ。友達んちでレコード棚を見て、テープ棚を見て、聞かせてもらう。自分のレコードやテープを持って行ってかける。そうやって幾晩も幾晩も「A面かけたらB面聞こえるくらいに」(バタやん談)聞き古されてなお僕らの耳に残る、生き残った音楽なのだ。息せき切って買って来たQ&Pをかけた瞬間耳がポロリと新しくなった。sweetest girlやホワイトアルバムでみせたホワイト・ファンクもインテリでかっこよかったけど、次はどうなるのかと思ったらこうきたか、と。
そのQ&Pが回転寿司だぜ。誰も聞いてない。誰も何の思い入れもなく、消費すらされずに素通りして行く音楽に。グリーン・ガートサイドの名曲が。僕らの思い入れが。
故郷の訛り懐かし 停車場の人ごみの中にそを聞きに行く。石川啄木
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