***21.nov.2005
二の酉の市、鷲神社にお参りしてきた。たくさんの人出、威勢のよい掛け声や鳴りもののにぎやかしさ。欲あって集う人々なれど、すがすがしき欲か。素朴である。 商売繁盛って、そのままお金が儲かるって話でもなく、儲からないけど賑やかだ、ってこともある。賑やかじゃないけど儲かってる、ってこともあるだろう。 貯まるお金が少なくても、右から左に流れて行くだけのお金でも、常に忙しく賑やかな方がいい、か。
助けられることもあれば助けることもある、か。大小あれど。
ずらりと並んだ屋台のなかに、おじいさんがカルメ焼きを焼いてる姿があった。歯が抜けた人らしくときどき口元がもごもご動いて、でもギラギラして饒舌な他の屋台の並びのなかで、ただ黙々と、お玉にすくったキャラメルシロップを七輪の上にかざして、じっとしてる。 ぐつぐつ泡立つ茶色いシロップがだんだん白っぽくなっていくと、脇のトレーにつるんとこぼす。娘さんだろうか、横でおじいさんの所作を黙って見つめる彼女もまた無言のまま、トレーにこぼされたカルメ焼きをひっくり返し、熱さます。それから、かわいい、金魚すくいの袋みたいな、東名のビニール袋に蛍光ピンクと黄色のビニールチューブの紐が通された袋にほろんとこぼす。
もう何年、こうしているんだろう。毎年、毎年、お酉様の縁日には同じ場所に屋台を設え、繰り返して来たんだろう。どのくらいたくさんの人々がおじいさんのすくったキャラメルシロップの魔法にほころんだことだろう。ひとつ入り袋とみっつ入り袋を買って帰った。
大学で、今日のゼミは「食と知覚」シリーズ3回目、福島産コシヒカリをサフラン、お茶の葉、その他で染めた。
夜は巷房(銀座)で内田繁さんの家具展。今回は陶芸家・伊藤慶二さんの器を飾った棚、など。たたき仕事の黒いかねが目を引く。
地下のスペースでは水影の展示。去年、temperamentを展示した場所、見にいらした方が、ここは80年前からしばらくは共同浴場だった場所だ、と教えてくれた。 だからここは水と相性がいいのだ。temperamentはまるでここで生まれた機械のようだった。なんて自分の感慨にひたっててはいけない。


...a day before.....*+*+*+*+*....a day after.....