***29.apr.2005
もうすぐ齢89になる恩師と上野の都美術館に「国展」を見に行く。偶然だが、恩師は私の小学校の先輩でもあり、こうしてしばしば「同窓会」と称して美術館巡りをしている。「人間へのまなざし」展で一緒した開さんや、テンペラ技法を習った寺田先生も出品している。絵画のための絵画は描かない、と宣言している私ですが、そうはいっても絵を描くのは無上の楽しみであり贅沢である。いわんや黄金テンペラをや。私の手は、説明のためのドローイングのために動きこそすれ、絵のための絵は描けないのだ。それが、黄金テンペラなんて、緻密で繊細で地味な仕事を習って没頭するのはとても贅沢な楽しみだった。モデルの子を観察して描く時間は、座禅の瞑想の時間にも似て、しばし時の経過を忘れて抽象の境地にあそびながら実にさまざまなことを考える。タイマーが鳴って現実にかえり、鉛筆の痕跡を眺めるときの思い。
絵画の話はまたにしよう。
この日は「みどりの日」。昭和生まれとしては「天皇記念日」としてのほうが記憶に深いのだが、平成以降はそういうことになっている。それで、上野動物園が無料開放日になっていた。おとといの科博の続きで、動物園のインフォメーション・デザインがどうなっているか見ておきたかったし、恐竜博で示唆されていた「恐竜から鳥類へ」も気になっていたし、獣が見たかったので入ってみた。たしかに、鳥を見る目が以前と違っていて、これをたどれば恐竜かーと感慨深く眺める。でも獣たちはちょっと気の毒だった。爬虫類館はちと遠かったので、また改めて行こうと思う。休憩所の藤棚はもう花の総がいっぱいに垂れ下がり、入り口の前には20連くらいの鯉のぼり家族があって、すっかり五月の一日でした。
せっかく今日はこの後の約束にせかされない日なので、アメ横をひやかして帰る、つもりが2時間以上もうろついた。6000円の値がついていた大トロを1000円でゲット。お魚屋さんや果物屋さん、乾物屋さんやお菓子屋さん、あれこれ魅力的だったけど何しろ量が多い。今度パーティ料理のときには仕入れにこよう。帽子屋さんで気に入ったのがあったけど手持ちがなく断念。ビデオカメラや一眼レフを持ち運ぶバッグもいくつか候補をチェックして今日は買わない。一昨年の年末だかにドキュメンタリー番組で取材されていたチョコレート屋さんはいつも気にして通ってるんだ、実は。あの時取材されてた跡取り息子はその後働いてるのかな、とか。今日はいたいた。乾物屋さんのお嬢さんは、うーん、わからなかった。一生懸命商売してる街。こんなふうに活気づけるためには、地の利だけでなくさまざまな努力があるだろう。そりゃ昔ながらのお店はちょっとづつ減って様変わりしているけど。そうしていわゆる「ショッピング」のお楽しみに歩き疲れが勝った時にはすっかり夜でお魚屋さんも店じまいを始めていた。
さて、戦利品の大トロはお刺身とねきトロにしてみたけど、、、う、うーん、中トロな感じ、かな。やっぱりあさりは買ってお味噌汁にしたかった、かも。
牧郷の「豆の会」の方からわけていただいたお味噌が極旨で一週間で使い切っちゃったので、こんどまめ畑の草むしりを手伝いに行ってまた分けてもらおう。ほんと、「豆の会」のお味噌は天才です。

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