***23.apr.2005
慶応義塾大学(三田)で「形の文化会」研究発表会。午前中、「形の文化研究」誌の表紙デザイン案の詰めをして昼から出かけ、昼いちの会議で報告。宮崎興二先生のご紹介に始まったハルギッタイ先生の特別講演は美しいシンメトリーの画像とユーモアを交えた明快な解説でおもしろく、質疑応答ではベテランの先生方からも興味深い議論が湧く。すなわち、事象はア・シンメトリな状態で現れ(=我々の知るところとなり、という意味だと思う)シンメトリに向かって安定する、と。また、動物の外見がシンメトリなのは「動き」と関係があるからで、内蔵はア・シンメトリなのだ、とか。もっと本読んで勉強しなくちゃ。事象の観察はできたとしても、言葉として客観化できなくなるのよ、本読んでないと。
遅い午後に一ノ瀬さんのCD販売用パネルを納品して、その足でoff siteにasunaさんの一日展覧会「each organ」を見に行く。彼は先日、牧郷ラボのお花見に松本市の友人たちと遊びに来てくれて、またオルガン見に来たいと言っていた。さて。1998年に、一ノ瀬さんの素晴らしい未知の楽曲のためにthrough your organという言葉を贈り、彼もそれを気に入ってくれたし、果たして楽曲は、たぶん確実に何かを越えた孤高の名作で、惜しむらくはライブ録音が非常に難しいものだったゆえに、映画「ディーバ」のごとくその場に居合わせた人の記憶にのみ再現される幻となっている。organという言葉に含まれる有機的である種官能的な意味合いを深く理解しているつもり、だから、牧郷ラボを始める前、たくさん残されたオルガンを「器官」と結びつけた解釈で映像インスタレーションをしたいね、と言っていたbambientの嶋田さんの言葉にもうなずけるし、今度はもっとずっと若い世代のasunaさんからそんな言葉を聞き、作品を受け入れる素地は充分に整っているといえる。asunaさんの表現したいことはよく理解できたと思うので、ついさっき聞いていたシンメトリ/ア・シンメトリの話を雑談してその場を後にした。
「形の文化会」懇親会では円通寺の和尚様先生から、電気工学と四次元のお話を聞き、お話しながらテーブルマット紙に走り書きしたドローイングがとてもよかったのでそっとポケットにいただいて来た。もう一人の特別講演者・増村先生の、漆という伝統工芸と供給インフラ整備のお話を興味深く聞く。

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