***05.mar.2005***
朝5時から1時間眠り、起きて作品・資材のチェック、梱包。予定時間ぴったりに金沢の田中運送さんと企画担当の吉田さんがいらして積み込み開始。約1時間後、作品の一部を預けてある商華堂さんへ向う。見送った後、あーだこーだと荷づくりしてJRで北陸へ。越後湯沢あたりはさすがに積雪量が多く、雪遊びらしき若者達とビジネスマンが交錯する駅でした。19:20に金沢駅に着き、駅前が立派なガラスドームになっていて驚いた。昔昔、二階建ての古びた建物が並び昭和中期の面影満載のこの駅に降り立つたび、また、向うたび、ひなびた趣を感じていた。嫌いじゃなかった。田舎町らしいうらさびしさ、というか、時間が止まってしまったような街並が、うちそとの出入り口にふさわしいお伽の扉だった。 ある時、駅に降り立つと、どーんと見上げる立派な、航空会社のホテルが立ち、六枚町に至る昔からの道が拡張され、従って、あったはずの暮しの一角が平ベったい道路のもとに消滅し、なかった道が道となり、すっかりやる気の駅前になってがっかりした。都会から来る者にとって違和感がないことが、便利なのかもしれないし、つまらなくもある。金沢の道の魅力を根こそぎ平べったくしてゆく。 ガラスドームのイメージプランは10年くらい前に見た。あー、ほんとにできちゃった。急ぎ足でタクシーに乗り込んだ視界の端に赤茶色い妙な物体が入ったけど、よく見えなかった。
今日の作業が終わりにかかった美術館の展示室で、しばらく空間を眺めて、描きためてきたプランを今一度落としこみながら最後のツメを思案する。今回は、妙な場所なんだ。でも、場所のデフォルトに対応することがインスタレーションなのだから、場所を読んで呼応する言葉を探すだけだ。思考実験の中で空間をシミュレーションして、今日の作業はおしまい。
名古屋から来ていた旧来の知人である橋本公成さんと柿木畠の「あまつぼ」で食事しつつお互いの近況を話す。名古屋港のアートポートでの展覧会には何度か参加させてもらったし、倉庫のアトリエは刺激的だった。名古屋の友人たちから、このエリアの存続について聞いてはいたけれど、名古屋市ってほんとに●●だ。天命反天地だって断ったし、こんな素敵な実験空間に蘇った廃虚倉庫を、よりによって「イタリア村」にしたんだと。万博にあわせて?どういうセンスなんだ?危ないぞ、名古屋。遊覧船・金シャチ号みたく開き直ったローカル・アイテムもなくなっちゃったみたいだし。以前、商業施設の設計してたころJETTYに関わり、その隣の倉庫は茂登山さんたちの尽力でC4Bという実験空間とテック・ミュージアムとKINKO'sみたいな時間貸しPCスタジオになっていて、coolbreakというグループ・ショウに参加したけれどそれも2年くらいでなくなり。
「あまつぼ」は土曜日の夜なのに他1組しかお客がいなくて、居酒屋のようだけどどの料理も見目麗しく工夫豊かで美味かつリーズナブル。週末の夜の渋谷の喧噪を思うと、うひひである。金沢、いいなあー。
今回は絶対作業がこぼれることを予測して40平米のアパートを短期で借りた。
見覚えのある街並をながめながら、これは、旅なのか、日常なのか、とふと思う。

...a day before.....*+*+*+*+*.....a day after...